大正琴とは何か?

 大正琴とは通称“森田吾郎”本名“川口仁三郎(かわぐちにさぶろう)”が考案し、1912年(大正元年)9月9日に発売した日本の琴の一種です。森田吾郎は名古屋市大須の大須観音近くにありました●1.“森田屋”旅館の次男として大須で育ち、●2.アメリカ、ヨーロッパを旅行したと言われています。彼がいつ外国に行き、いつ戻ったかはいくつかの見解があります。外国で見たであろう(※3)タイプライターのキー構造と当時普及していた日本の(※4)二弦琴(東流二絃琴)を参考にして大正琴発明のアイデアを思いついたと言われています。二弦のこの新楽器は当初、菊琴と名付けられましたが、その直後に大正琴と名称が変更されました。理由は販売日が大正時代となってすぐだったからと言われています。これが「大正琴の始まり」と一般的に言われている紹介です。

 現在の(※5)6弦大正琴は同じ太さの鋼線弦3本と巻線弦1本がフレット上にあります。巻線弦は鋼線弦より1オクターブ低く、これら弦4本を一度にピックで弾くと鋼線弦3本よりもまろやかな音になります。

 フレット上の4弦に加え、一般モデルには巻線弦が2本があり、低音弦でフレット板の手前にセットされています。最初の弦は鋼線弦よりも1オクターブ低く、2番目の弦は1番目の弦よりもさらに1オクターブ低い音です。(※6)琴修会の大正琴はこれらの2弦は演奏に必要ないのでありません。この2本の低音弦はソロで無伴奏用ですが、琴修会では一般的にソプラノ大正琴によるユニゾンと又はソプラノとアルト大正琴の2パート演奏の伴奏には伴奏用機材としてシーケンサーを使用しています。大正琴のキー(ボタン)を押すことはギターの指板に指を押すのと同じ理由で、音階をつくります。一般的に“ソプラノ大正琴”は単に大正琴と呼ばれており、アンサンブル演奏用には他の音域のモデルがあります。アルト大正琴は2本の巻線弦で鋼線弦よりも1オクターブ低く、そしてテナー大正琴は1本の巻線弦のみでアルト大正琴よりも1オクターブ低い音域です。ベース大正琴も巻線弦1本でテナー弦よりもさらに1オクターブ低い音域です。弦の本数は流派によって違いがあります。大正琴の音域は2オクターブ以上あります。26キーか27キー(ボタン)です。ソプラノ6弦大正琴の標準の調弦(キーを押さえないで弦を弾いた音)は巻線弦Gとgと鋼線弦g’g’g’です。アンサンブル用大正琴は写真※32をご参照下さい。

 タイプライターのキーのように大正琴の各キーには数字が印刷されています。楽譜は数字で書かれています。楽譜の数字と大正琴のキーの数字の意味(音階)は同じです。キーの番号1はドでキー番号2はレでキー番号3はミで、以下同様です。(※7)楽譜の数字を見て、左指定指で同じ数字のキーを押さえ、右手に持ったピックで弦を弾くとその音階の美しい音色が響きます。誰もが特別の音楽知識なしで大正琴演奏を楽しめます。これが大正琴は“演奏が簡単”と言われている理由です。もし大正琴の音色、に興味があれば、Webの“ユーチューブ大正琴”をご覧下さい。

丸善ウェリントンタイプライター
東流ニ弦琴

※3.ウェリントン社製タイプライター
1900年最初の輸入モデル

※4.東流二絃琴


標準6弦大正琴花陽 基本音和文
※5.標準6弦大正琴 と基本音(鍵盤で弦を押さえずに弾きます)

琴修会の大正琴
演奏姿勢

※6.琴修会の4弦大正琴

※7.演奏姿勢